7月2日に「農業廃棄物(もみ殻)利用で、水田メタン発生抑制、稲の高温対策が可能に」をプレスリリースしました。
これは、日本の農業で大量に発生しているにもかかわらず効果的な利用がされていないもみ殻対策の検討と、稲作で大きな問題になっているメタン発生と稲の高温対策を解決すべく技術開発に取り組んできましたが、このほど活性酸素の利用によって一挙に全課題を解決することが出来ることになりました。
活性酸素は有機物をガス化して完全酸化分解させます。その工程はまず有機物のC-H結合からHを引抜きH2Oにします。この工程が終了した段階で有機物はC-C結合の炭の状態で残ります。
もみ殻をこの段階で取出すと、炭と非結晶シリカが残ることになります。
これがメタン発生を抑制し、高温に強いイネを作ることが出来ます。
詳しくは下記資料、若しくは「農業廃棄物(もみ殻)利用で、水田メタン発生抑制、稲の高温対策が可能に」で検索して、リリースされたニュースでご確認ください。
プレスリリース
農業廃棄物(もみ殻)利用で、水田メタン発生抑制、稲の高温対策が可能に。
WEF技術開発の特許技術「大気中生成活性酸素」で、もみ殻からバイオ炭と非結晶シリカを低コスト・短時間で同時製造に成功。
2024/6/28
WEF技術開発株式会社
地球温暖化によって、稲作は大きな問題を抱えることとなりました。一つは加害者的問題、もう一つは被害者的問題です。
加害者的問題は、水田に水を張ると土中が嫌気になりメタン菌が活性化するため、メタンが大量に発生する点です。下図にあるように、日本でもメタンの発生量の1位は稲作です。このため農業は非環境産業になっていて、稲作でのメタン削減が稲作が盛んなアジア全体の大きな課題になっています。
一方で、被害者的問題は温暖化による稲の各種ストレスです。稲は高温に弱く、温度(高温)、風、日照時間、害虫等のストレスで、CO2が増えて稲成長にプラスに働いた分を相殺しても、減収量、品質低下は避けられないといわれています。
■水田メタン発生に対するバイオ炭の効果
ここに2つの論文発表があります。
・バイオ炭を水田に施用することで、メタン排出量を22.9%削減できることがわかった。さらに、バイオ炭はSOC(土壌有機炭素)を36.3%増加させ、作物収量を16.2%増加させた。この結果は、バイオ炭がこの地域の温室効果ガス排出を緩和し、SOC含有量と作物収量を増加させる効果的な解決策となることを示唆している。
(Effects of Biochar on Methane Emissions and Crop Yields in East Asian Paddy Fields: A Regional Scale Meta-Analysis.)
・市販のもみ殻くん炭は水管理の有無に関わらずメタン抑制効果が稲作期間を通して期待できることが示され
た。また、くん炭の混合量も今回の実験結果から、最低250㎏/10aを混合すれば十分メタン抑制効果が期待できること、さらに混合量を増やすことによって抑制効果がより高まることが期待された。
(バイオ炭を用いた水田稲作農法の科学的検証: 滋賀県立大学 環境科学部)
・バイオ炭の一般的な効果
土壌の酸性度を下げ、緩衝能力を高め、溶存有機Cや全有機C、CEC、利用可能養分、保水性、団粒安定性を高め、かさ密度を下げる、微生物の活性を高め、栄養循環を促進し、窒素の溶出と揮発を減少させる。
バイオ炭は、平均して4.6倍のP(リン)可用性を増加させ、重金属の植物組織濃度を17%~39%減少させ、負のプライミングによってSOCを3.8%増加させ(範囲は-21%~+20%)、土壌からのCO2以外のGHG排出量を12%~50%減少させる。
バイオ炭とミネラルや有機肥料、ミネラルを組み合わせた配合は、養分利用効率が高く、最も費用対効果が高い。
■稲の高温対策としてのシリカ利用
・シリカは、物理的ストレス(干ばつ、宿根、低温・高温、紫外線)、化学的ストレス(重金属、塩分)等、様々な種類のアビオティックストレスに対抗することができる。
(Maら, 2006; Liangら, 2007; Liら, 2008)
・シリカの一般的な効果
⚫光合成量と収穫量の増加
⚫病気への抵抗力を高める
⚫害虫に対する抵抗力を高める
⚫干ばつや塩害に対する耐性を高める
⚫洪水への耐性を高める
⚫養分バランスを向上させる
⚫紫外線への耐性を高める
⚫高温・低温への耐性を高める
⚫炭素貯留量の増加
⚫重金属の取り込みを抑制する
■バイオ炭とシリカがあれば、アジアの水稲問題が解決する
イネはケイ素を地上部乾燥重の10%ほど集積しています。このうちもみ殻中の成分比率としては、80%弱がセルロースなどの有機物で、残り20%強の無機物は大部分の非晶質シリカと僅かなミネラルで構成されています。
国内で毎年約200万トンのもみ殻が排出され、そのうち67万トンが破棄されています。このもみ殻を利用出来れば、廃棄物(もみ殻)が温暖化と食糧の両問題を解決できることになります。
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活性酸素+反応熱で有機物分解し無機物を残すWEF技術開発の技術
もみ殻中の80%近くのセルロースの原子結合を活性酸素が分解し、最終的には無機物のシリカのみにしますが、今回早目に処理を停止することでバイオ炭として残しました。
処理前もみ殻
もみ殻投入
出来たもみ殻バイオ炭+シリカ
活性酸素有機物分解装置「Polaris3.0(ポラリス)」
活性酸素処理の特徴
1)低コスト処理:処理中エネルギーは活性酸素投入ファン(50W×2台)のみ
2)短時間処理 :処理時間は3時間前後
3)低温度処理 :処理温度は250~300℃ですので、完全非結晶化が可能
4)端境期も活用:もみ殻処理しない時期は、農業廃棄物(防草・遮熱シート等の分解処理に利用)
■これからの稲作の新しい形をつくる「もみ殻バイオ炭シリカ」
「もみ殻バイオ炭シリカ米」栽培の効果
1)水田メタン発生抑制+埋炭の2つが集計されるで、「カーボンプライシング」で大きなCO2販売量が見込る。
2)気候変動ストレスに打ち勝つ米の栽培で、収量、品質が確保(増産)出来る。
3)リン肥料の使用量削減(炭の付加価値利用)できる。
4)稲作廃棄物の削減できる。
■会社概要
商号 : WEF技術開発株式会社
代表者 : 代表取締役 青山 章
所在地 : 滋賀県大津市堂1-19-15
設立 : 2016年7月
事業内容: 水処理、廃棄物リサイクル、Mg関連技術開発、販売