飲料水にヒ素が含まれている地域が数多くあります(世界的に)が、なぜ広範囲にヒ素汚染地域があるのですか?


 ヒ素は火山活動によって地殻に蓄積され、それが地下水に溶解し、汚染された地下水を飲むことで、ヒ素中毒になります。その為、飲用とする地下水のヒ素汚染は世界各地にありますが,アジア地域での汚染は深刻です。1980 年以降,井戸水のヒ素汚染がアジアの各地で報告されてきました。

 地域としては、中国の黄河流域、ベトナムのレッドリバー流域、カンボジアとベトナムのメコン川流域、ミャンマーのエーヤワディー川流域、ネパールとインドのガンジス川流域、パキスタンンのインダス川流域、ガンジス川とブラマプトラ川とメグナ川の3つの大河が合流してできたデルタの国バングラデシュなどです。この汚染源はヒマラヤ山脈にあります。

 それではなぜ1980年以降に各地で汚染報告が相次いだのかというと、それまでは地表の水(河川・湖沼水)を飲用していたのですが、汚染がひどくなり、健康被害が出始めたため、深井戸を掘って安全な水を求めたためです。

 安全であるはずの地下水が、ヒ素に汚染されていたのです。これらの地域での健康障害者は6000万人をこえています。