下水汚泥は乾燥・焼却・埋立てが出来ないのですか?


 下水汚泥は微生物の集合体です。微生物はすべて細胞を持っています。細胞は非常に強固な細胞壁(細胞膜)で覆われています。処理するにあたって、この強固な細胞壁が大きな問題となります。強酸・アルカリ、高温・高圧、オゾン等でも効率よく破砕することは難しい為、現状ではそのまま脱水装置にかけられます。細胞壁があるものを脱水機にかけても、軟らかい風船を押さえるようなもので、横に伸びるだけで、壊れて中の細胞質が出てくることはありません。そのため余剰汚泥を脱水しても、含水率はまだ80%前後もあります。

含水率80%の汚泥を燃やしたり、埋め立てたりするとどうなるか、想像するだけでそれが環境に与える影響の大きさがわかると思います。中国では、含水率を60%以下にしないと、処理場から持ち出せません。しかし、含水率を60%以下にする脱水機は、まだ世界にありません。

下水汚泥問題がどれだけ大きな問題か理解していただけたかと思います。現在世界中でこの問題に取り組んでいますが、まだ効果的な処理システムは出てきていません。